【完】嘘から始まる初恋ウェディング

不思議と怒りは沸いてこなかった。 気が付けば、頬を涙が伝っていて、バレないように声を殺して狭いトイレ内で泣いていた。

後に携帯で彼女達の言っていた見知らぬ言葉を検索すると、そこには

イージーモードというのは、ゲームにおける難易度の呼び方で、人生さほど苦労しなくとも順調な人生を送っていけるという意味で

チートいうのは、いかさまや不正行為などという意味を指すらしい。


彼女達の言うように、私は今まで生きてきて苦労をした事はなかった。
確かに優しい両親の下大切に育てられた箱入り娘だ。

そしてチェリーチョコレートカンパニーにコネ入社をしたのは事実なので、いかさまと呼ばれても仕方がない。

だけど私は会社の…そして父の役に立ちたくて、周りの皆さんに迷惑をかけたくはなかった。 それから毎日朝一番に会社に出社し、掃除を済ませて同僚の皆さんが快適に仕事が出来るように美味しいお茶を用意し、仕事でもドジをしないように細心の注意をはらっていたのだが…。

けれど私が頑張れば頑張る程、周囲に迷惑ばかりかけてしまう。 そんな時だったのです。あなたが私の目の前に現れたのは――。

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