【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「はぁ?!何でジュリエットとあの男が会っているのよ!」

「実は色々とあって…」

レナちゃんに事の発端を説明すると、更にご機嫌を損ねてしまった。

自分の実家に他人を入れる事がとても不快らしい。 父が何を考えているのかも分からないと言って。

私には、あんまりあの男に近づくなと釘を刺された。 悪い予感しかしない。 レナちゃんはそう言ったけれど、私はそうは思えない。

白鳥さんが掃除してくれたオフィス内は、いつもよりピカピカとしている気がしたから。


―――――


白鳥さんは、社長室と企画部を行ったり来たりしていた。

驚いた事は、彼がとても仕事が出来る人間だという事。 さすがはノエルに勤めていただけの事はある。


ミーティングでは誰よりも発言をし、意見を酌み交わし、決算報告書の作成もさらりとこなしていく。

そんな彼に部署内の女性社員の目は釘付けだ。

特に来年に我が社から発売する女性ターゲット向けのチョコレート菓子については、レナちゃんと意見がばちばちとぶつかり合っていた。

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