【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「おつかれさまでーす」
知らず知らずのうちに時間は過ぎて行った。
気が付けば、外は真っ暗になっていて、オフィス内には私しか残っていなかった。
慌てて腕時計を見ると、20時を過ぎていた。 母には連絡はしておいたが、心配をかけてしまうかもしれない。
けれども頼まれていた資料はもう少しで出来上がりそうだった。
いつだって、レナちゃんが助けてくれたから…定時で上がれていたんだ。 でも時間がかかっても一人でやろうと思えば終わるものだ。
大した仕事ではない。だけど達成感で包まれていく。 不思議なの。白鳥さんの姿を見ていたら、こんな自分でも何かが出来るんじゃないかって気持ちになっていく。
その場で伸びをして、再びパソコンに向き合おうとした時だった。
「まだ残っていらっしゃったんですか」
薄暗くなってしまったオフィスの入り口に立っていたのは、白鳥さんだった。 思わず手を止めその場に立ち上がる。