【完】嘘から始まる初恋ウェディング
ご飯を食べ終わって、白鳥さんと隣り合い仕事を終わらせていく。とはいえ、彼はとても仕事が早く残りのほぼ全てをあっという間に終わらせてしまった。
ありがとうざいます、と言って、何かお礼をしたいと言ったけれど、やんわりと断られる。
仕事を終えて共にオフィスを出て、何か白鳥さんに出来る事はないかと考えていた時だった。
「ルナさん、上を見てください」
「え?」
白鳥さんの指さす方向、空にまんまるのお月さまが浮かび上がっていた。
「まあ、とても綺麗な満月ですわ。 残業も悪くないですね」
「ルナさんの名前とお揃いですね。 綺麗な満月だ。」
思わず空を見上げる、白鳥さんの顔ばかり見てしまった。
お月さまより綺麗な横顔で、彼は空を仰ぎながら曇り一つない笑顔を向けていた。
帰り道、ゆっくと私の歩幅に合わせて歩いてくれた。 そんな小さな優しささえ見逃さなかった。 やっぱり彼は優しい人だわ…。