【完】嘘から始まる初恋ウェディング
明らかに、ルナは自分に好意を持っている気がした。 ただこれは仕事の一環で、彼女を守り近くに居る理由は金の為だ。
出来るならば面倒な事は避けたい。 いくらこの俺でも女と飯に行く時、わざわざ立ち食い蕎麦なんか選ばない。 落ちそうでやれそうな女ならば、女が喜ぶイタリアンやフレンチに連れて行く。
嫌われて、幻滅をされたいのに、何故かルナは羨望の眼差しを俺へと送る。
「ねーちゃん!ここは天かすとネギは無料なんだ!いっぱいかけるとうめぇぞ!」
「まあ、それは丁寧に教えて下さってありがとうございます。
トッピングが無料なんてお得感満載ですわね」
「だろう?ここは創業50年の老舗なんだ!店主は不愛想だが、味は確かだ!」
「すごいですわ…!そんな老舗のお店なんて…」
何故か隣にいたおっちゃんとも仲良く話しているルナを見ていると、気が抜けて思わず頭が痛くなる。
お嬢様という人種は誰も彼もここまで変わっているのだろうか…。
自棄になってずるずると音を立てて蕎麦をかきこむと、ルナはくすりと笑って「美味しそうに食べますわよね」と微笑んだ。
…調子が狂う…。