【完】嘘から始まる初恋ウェディング
やっぱりどこかから、誰かの視線。 しかもこれは、ルナの側に居る時にしか感じない。
これでも警備会社の人間で、この仕事は大学を卒業してからずっとしている。
怪しい動きをしている人間など、分かるものだ。 そして、ルナの身辺は明らかにおかしい。 あの狐ジジイの言っていた事もあながち嘘ではないのかもしれない。
ルナはそんな気配一ミリも感じなかったようで、大きな瞳でこちらを見上げたままだった。
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「そうか。やはり白鳥くんも感じたか…」
社長室。
椅子に深く腰をおろし、前かがみで両手を組みながら桜栄社長は神妙な面持ちをする。
こうやって見ると、歳の割には美しい顔をしているおじ様なのだが…。
「ルナにストーカーめいた男がついているなんて、許せん!確かにルナは魅力的な女性だ。しかし桜栄家の娘に手を出すとは」