【完】嘘から始まる初恋ウェディング
体中震えている癖に減らず口をよくもまあここまで叩けるものだ。 仕事のミーティングや会議でも何となく分かった事だが
この女は自分が桜栄家のお嬢様である事に相当なコンプレックスを抱いている。 実はルナよりずっと人の目を気にして、生きているのではないだろうか。
「ルナとは違って、自分は桜栄家の令嬢という名に甘えていない、とでも言いたげですね」
「なッ!」
途端にレナの真っ白な肌は赤くなっていく。 人間とは図星をつかれると言葉を失う生き物だ。
真っ赤な顔。震える体。 右や左へと挙動不審に視線は動く。
「私は、そんな事は言っていないわ…。 ただルナは私とは違って世間知らずな子だから…」
「そうでしょうか?ルナさんはルナさんなりに自分のやるべき事に向き合っていますよ。 出来ない事は悔しいし、自分に出来る事は精一杯頑張っている。
レナさんがルナさんを甘やかすのは、余り良くない事だと思います。
それにお前は心配してるだのあーだーこーだ言って、あのお嬢さんを下に見てるんだ。
結局は自分より何も出来ない妹に優越感を抱いてるんだ。
あの子はもう大人だ。お前や親父達にばかり頼らなくても、自分の人生は自分で選択するだろーが」