【完】嘘から始まる初恋ウェディング
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都内の高級住宅街。
この辺りでもひと際目を引く大きな純白の私の家は、昔から目立つ。
私や姉が幼い頃は、運転手さんやお世話をしてくれる家政婦さんを雇っていたので、昔は学校まで運転手さんに送り迎えをしてもらい
週に何回かやって来る家政婦さんがお庭や家のお掃除をしてくれていた。母も私とは違い、どちらかといえば姉に似ていて活発な女性だったので、父のお仕事を少しだけ手伝っていた。
大きな家で、幼稚舎から大学までエスカレーター式の女子学校に進み
何不自由なく22年間過ごしてきた。
姉のレナちゃんは大学卒業を機に一人暮らしを始め自立をしたのだが、私はこの生まれ育った家に未だに留まっている。
「ルナ、おかえりなさい…!
あら、その傘は?」
仕事を終えて自宅に戻ると、母はいつもと変わらずに笑顔で玄関まで迎えてくれる。
そして手に持っている大きな黒い傘を見つめ、不思議な顔をした。