【完】嘘から始まる初恋ウェディング
最後の方投げやりになって、ついつい口調が変わってしまった。
目の前の女はまた反抗的な視線をこちらに向けて、怒りに任せて怒鳴りつけてくるかと思ったけれど
顔を真っ赤にさせたまま、その場で下を向いてしまった。 唇を噛みしめて、目の縁を赤くさせる。
…いじめすぎたか?
「知り合ったばっかのあんたに何が分かるのよ!」
それだけ言い捨てて、レナは俺を振り切って、走り出してしまった。
確かに…。知り合ったばかりだというのに、何を分かった気になって熱くなってしまったのか。 俺らしくもない。
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怒涛の一週間が終わりを告げようとしていた。
この一週間は普段している仕事の数百倍疲れた。 慣れない仕事に加え、ルナに気づかれぬように彼女の身辺を探り
息つく暇もなく日々は過ぎ去って行った。 破格な値段の依頼とはいえ精神的には気の休まる時間が無かった。