【完】嘘から始まる初恋ウェディング

しかし明日は待ちに待った土曜日だ。
社長曰く、ルナは休みは余り出掛けないらしい。 家に居てくれる分には、安心だ。

明日は久しぶりに自分の時間…! 遊びまくろう!自分の好きな事をしてストレスを発散させるのだ。

そう思っていたのに……。

「んんー、これは美味しいですね。」

「本当?翔さん。それはルナも手伝ってくれたんですのよ。」

「美味しいです。ルナさん料理も上手なんですね」

金曜日の夜、夕食には牛カツがダイニングテーブルに並んでいた。
社長は、今夜接待で遅くなるそうで、三人で食卓を囲む。

料理を褒めたら、ルナは照れくさそうに微笑んだ。 それにしても美味い。 明日が休みだから特別に旨く感じる。不思議と機嫌も良くなるってもんだ。

「お手伝いといっても、大した事はしていませんわ」

「このソースもすごく美味しいです」

この肉は、スーパーの特売で並んでいるような安物ではない。
しかしどれだけの金持ちだ。 野菜は全て無農薬で農家から取り寄せているらしい。

卵やら肉や魚にも相当な拘りがあるらしく、何を食べても新鮮で旨い。

この日本に、こんな生活をしている人間が本当に居るものなのだな。 金持ちつーのは、やっぱりどこか浮世離れしている。

< 91 / 306 >

この作品をシェア

pagetop