乙女チック同盟~私と学園の王子様のヒミツの関係~
5.わたしだけが知ってる八乙女くん
「おはよう」
朝の教室。聞き覚えのある声がして振り返ると、八乙女くんがこちらに手を振っていた。
「あ、おはよう」
私が返事を返すと、八乙女くんは少しだけ口の端を上げ、すぐに親友の恭介くんのところに走っていってしまった。
あ……。
私は八乙女くんの背中をじっと見つめた。
乙女チック同盟の活動の時は、あんなに饒舌に少女マンガや少女小説に着いて語ってくるのに、教室だと妙に八乙女くんは素っ気ない。
そうだよね、私みたいな地味な女子と仲良くしてるなんて、恥ずかしいもんね。
何となく寂しい気分になる。
でも仕方ない。八乙女くんには八乙女くんのイメージってもんがあるし。
挨拶をしてくれただけでもありがたいと思わなきゃ。
それにしても――私はクラスの中心的存在の男子や女子に囲まれて笑う八乙女くんをじっと見つめた。
八乙女くん、あんなにたくさんの友達がいるのに、あの中に、乙女趣味を打ち明けられるような友達はいないのかな。
「ねぇねぇ、知ってる? A組の佐藤さん、八乙女くんに告白したんだって」
と、そんな話が聞こえてきてビクリとする。
「えーっ、あの、結構可愛い子でしょ? それで、どうなったの!?」
ドキドキドキドキ。心臓が音を立てる。
聞き耳を立てるつもりなんか無かったのに、ついついウワサ話に聞き耳を立ててしまう。
「やっぱりフラれたらしいよ。『恋愛に興味ないから』って」
「えー、そうなんだ。でもそういう硬派でクールなところがいいよねー」
「ね。バスケが恋人って感じ」
キャッキャと女子たちが盛り上がる。
「硬派でクール」で「恋愛に興味がない」か。
確かに、八乙女くんのイメージってそうだったかも。
でも実際は――。
私は、週末に八乙女くんと二人でカラオケに行った時の事を思い出した。
朝の教室。聞き覚えのある声がして振り返ると、八乙女くんがこちらに手を振っていた。
「あ、おはよう」
私が返事を返すと、八乙女くんは少しだけ口の端を上げ、すぐに親友の恭介くんのところに走っていってしまった。
あ……。
私は八乙女くんの背中をじっと見つめた。
乙女チック同盟の活動の時は、あんなに饒舌に少女マンガや少女小説に着いて語ってくるのに、教室だと妙に八乙女くんは素っ気ない。
そうだよね、私みたいな地味な女子と仲良くしてるなんて、恥ずかしいもんね。
何となく寂しい気分になる。
でも仕方ない。八乙女くんには八乙女くんのイメージってもんがあるし。
挨拶をしてくれただけでもありがたいと思わなきゃ。
それにしても――私はクラスの中心的存在の男子や女子に囲まれて笑う八乙女くんをじっと見つめた。
八乙女くん、あんなにたくさんの友達がいるのに、あの中に、乙女趣味を打ち明けられるような友達はいないのかな。
「ねぇねぇ、知ってる? A組の佐藤さん、八乙女くんに告白したんだって」
と、そんな話が聞こえてきてビクリとする。
「えーっ、あの、結構可愛い子でしょ? それで、どうなったの!?」
ドキドキドキドキ。心臓が音を立てる。
聞き耳を立てるつもりなんか無かったのに、ついついウワサ話に聞き耳を立ててしまう。
「やっぱりフラれたらしいよ。『恋愛に興味ないから』って」
「えー、そうなんだ。でもそういう硬派でクールなところがいいよねー」
「ね。バスケが恋人って感じ」
キャッキャと女子たちが盛り上がる。
「硬派でクール」で「恋愛に興味がない」か。
確かに、八乙女くんのイメージってそうだったかも。
でも実際は――。
私は、週末に八乙女くんと二人でカラオケに行った時の事を思い出した。