乙女チック同盟~私と学園の王子様のヒミツの関係~
「それで……話って何?」

 恐る恐る切り出すと、雪乃ちゃんはキッと私をにらんだ。

「それじゃあ、ハッキリ言うわね。あんた、八乙女くんにつきまとうのをやめてくれない?」

 ああ、やっぱり、そういうことか……。

「私、つきまとってなんか……」

「ウソつかないでよ!」

 強い口調で言われ、ビクリとする。

 「そうよそうよ!」と取り巻きの子たちが同意する。

「八乙女くんはみんなの王子様なの。あなたみたいな人が近づいていい人じゃない」
「そうよ、みんな近づきたくても我慢してるんだから!」
「バスケの試合まで見に来たりして、迷惑なのよ」

 すごい剣幕の女子たち。私は思わず涙目になってしまう。

「そんな……私、そんなつもりじゃ」

「だいたいあんた、何、そのダサい髪飾り。最近、髪下ろしたりなんかしちゃってさー、調子乗ってるっつーか、ナマイキなんだよね」

「そ、それは――」

 私は、八乙女くんからもらった髪飾りに手をやった。

「私、あんたみたいな女、大嫌い。男子の前では大人しい女の子です、みたいな感じでぶりっ子しててさ」

 そう言いながら雪乃ちゃんが取り出したのは、銀色に光るハサミだった。

 取り巻きの女の子たちがクスクスと笑う。

 これから何をされるのか想像がつき、ゾッと背筋が凍る。

 ここから逃げなきゃ。でも、恐怖で足が動かない。

「どこ行くのよ」
「ちょっとイメチェンするだけよ」

 クスクス笑いながら私の手を抑える取り巻きの女の子たち。

 雪乃ちゃんのハサミがせまってくる。

「きゃあああああっ!」
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