乙女チック同盟~私と学園の王子様のヒミツの関係~
 私は、声の限り叫んだ。すると――。

「――若菜さんっ!!」

 息を切らし、走ってきたのは八乙女くんだ。

「八乙女くんっ!?」

 雪乃ちゃんたちは、八乙女くんの顔を見ると顔を真っ青にして私から離れた。

「大丈夫か、若菜さん」

「八乙女くん……八乙女くんっ!」

 どうしてだろ。八乙女くんに心配かけたくないのに、顔を見た瞬間、ホッとしてポロポロと涙が溢れ出てきた。

「俺が来たからもう大丈夫だよ、若菜さん」

 早乙女くんは私の背中をポンポンとすると、クルリと雪乃ちゃんたちの方へ振り返った。

「これは一体どういうことだ?」

「そ、それは……」

 八乙女くんに問いつめられ、雪乃ちゃんたちがたじろぐ。

「知らなかったよ、あんたらがこんな酷いことをする人たちだっただなんて」

「ち、違う……これは……」

 言い訳をしようとする雪乃ちゃんを、八乙女くんは今まで見たことがないほど冷たい目をしてにらんだ。

「若菜さんは俺の大切な人なんだよ。二度とこんな卑怯なことすんな」

 八乙女くん……!

 八乙女くんの言葉に、胸がじぃんと熱くなる。

 まさか、八乙女くんが私のこと、そんなに大切に思ってくれていただなんて。
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