乙女チック同盟~私と学園の王子様のヒミツの関係~
「そ、そうだ。このパンケーキ、SNSに投稿しよーっと」
写真を撮り、SNSを開いたとたん、見覚えのあるパンケーキの写真が目に飛び込んできた。
……あれっ、このREI*さんの投稿、私と同じパンケーキ?
どういうこと? REI*さん、私と同じお店にいるの??
キョロキョロと辺りを見回していると、八乙女くんがプッと噴きだした。
「――本当、《KANA》さんは鈍感だなあ」
あ、それ、私のハンドルネーム。
なんで八乙女くんが知って――って!!
ニヤニヤと笑う八乙女くんの顔を見ているうちに、私は全てを理解した。
「ま、まさか、REI*さんの正体って――」
「俺だよ」
やっぱり!!
ま、まさか――私と八乙女くんがSNSで三年もやり取りしてたなんて!
「こっちは割とすぐに気づいたんだけどな。若菜さん、うちの学校とかクラスのこととか投稿してたし、持ち物もアップしてたし」
呆れ顔の八乙女くん。
「そうだったんだ……」
「俺は、ずっと前から若菜さんのこと、好きだったよ」
全然知らなかった。そうだったんだ。
八乙女くんは、テーブルの下でギュッと私の手を握りしめる。
「だから若菜さんも、俺のこと、もっと好きになってね?」
「……もう、十分好きだよ」
ボソリと言うと、八乙女くんはニヤリとイジワルそうに笑った。
「えっ、何? 聞こえない。もう一回言ってごらん」
も、もう――!
「な、ないしょ!」
私は照れ隠しに、フンと横を向いた。
バスケ部のクール王子がこんなにイジワル王子だなんて、知ってるのはきっと私だけ。
こうして学園の王子様は、私だけの王子様になったのでした。
[完]