想妖匣-ソウヨウハコ-
「お前の匣は開けた」
「ここは……」
秋は突然襲ってきた浮遊感に閉じていた目をゆっくりと開けた。周りを見回し浮遊感の正体を突き止めようとしたが、それより自分が今いる所を理解し動きを止めた。
周りにはボールの入った籠、バスケットゴール。奥には大きなステージが広がっている。
ここは、秋の学校の体育館。今の彼女にとって苦々しい場所だ。
「ここは…………」
「ここは、君の記憶の中だよ」
「えっ」
いきなり後ろから声が聞こえたため、秋は咄嗟に振り向く。そこに居たのは、先程まで明人と一緒にいた毒舌美少年のカクリだった。だが、一部だけ、見た目が変わっており秋は言葉を失う。
今のカクリは人間とは言えない姿になっていた。頭には狐の耳が生えており、お尻には尻尾があり揺れている。話す度、口から覗き見える八重歯が鋭く尖っており白く光っていた。
カクリはただの少年ではなく、明人と契約をしている妖。九尾の子供だ。
「えっ、え? 夢?」
「まぁ、夢という捉え方は間違えていない。それより、周りを見てみると良い」
カクリは言いながら、右側に顔を向けた。
秋もその視線を追うように顔を向けると、何故か練習をしている先輩達や麗がいた。そして、端で後片付けをしている秋の姿もある。
「なんで……」
仲間の輪から離れ、一人で作業をしている自分を目にし秋は顔を歪める。
何で私はあんな所で一人なのか。何で、一人で俯き掃除をしているのか。何で、仲間の輪から弾き飛ばされているのか。
一人、淡々と作業している自分を見ていると心が締め付けられる感覚が襲い、息苦しさから逃げるように彼女は目を逸らす。
「周りを見る余裕くらい持ったらどうだい」
「──はぁ?」
秋は突然襲ってきた浮遊感に閉じていた目をゆっくりと開けた。周りを見回し浮遊感の正体を突き止めようとしたが、それより自分が今いる所を理解し動きを止めた。
周りにはボールの入った籠、バスケットゴール。奥には大きなステージが広がっている。
ここは、秋の学校の体育館。今の彼女にとって苦々しい場所だ。
「ここは…………」
「ここは、君の記憶の中だよ」
「えっ」
いきなり後ろから声が聞こえたため、秋は咄嗟に振り向く。そこに居たのは、先程まで明人と一緒にいた毒舌美少年のカクリだった。だが、一部だけ、見た目が変わっており秋は言葉を失う。
今のカクリは人間とは言えない姿になっていた。頭には狐の耳が生えており、お尻には尻尾があり揺れている。話す度、口から覗き見える八重歯が鋭く尖っており白く光っていた。
カクリはただの少年ではなく、明人と契約をしている妖。九尾の子供だ。
「えっ、え? 夢?」
「まぁ、夢という捉え方は間違えていない。それより、周りを見てみると良い」
カクリは言いながら、右側に顔を向けた。
秋もその視線を追うように顔を向けると、何故か練習をしている先輩達や麗がいた。そして、端で後片付けをしている秋の姿もある。
「なんで……」
仲間の輪から離れ、一人で作業をしている自分を目にし秋は顔を歪める。
何で私はあんな所で一人なのか。何で、一人で俯き掃除をしているのか。何で、仲間の輪から弾き飛ばされているのか。
一人、淡々と作業している自分を見ていると心が締め付けられる感覚が襲い、息苦しさから逃げるように彼女は目を逸らす。
「周りを見る余裕くらい持ったらどうだい」
「──はぁ?」