想妖匣-ソウヨウハコ-
麗達が教室を出て行ったから数分後、麗は授業が始まる少し前に戻ってきた。
表情は嬉しそうではなく曇っている。その様子を目にし、秋はため気を吐き小さく舌打ちをした。
麗に気づかれる前に目を逸らし、何事もなかったかのように窓を眺め授業が始まるのを待つ。
そんな秋を麗は一瞬だけ見るが、すぐに逸らしてしまった。まるでその表情は、何か後悔しているような。それとも我慢しているような。複雑な表情だった。