想妖匣-ソウヨウハコ-

「後悔しても遅いからな」

 陽光が差し込む林の中で、片足を引きずりながら歩いている人物がいた。

「な、んでよ! なんで。私の代わりがあんなクソの役にも立たないあいつなのよ!」

 甲高い叫び声。怒りが込められている言葉を吐き出しているのは、ボールを踏んで転倒し、怪我をしてしまった巴だ。
 診察の結果は軽い捻挫。だが、試合が来週に迫っているため、このまま無理に出す訳にはいかないという事になり、代理を秋がする事になった。

 秋はみんなの練習が終わった後、顧問に無理を言って居残り練習を毎日していた。そのおかげで技術が身に付き、今では周りの人達についていけるくらいになっていた。その事にも苛立ち、顔を赤くする。

「なんでよ!! ふざけんじゃないわよ!」
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