俺が優しいと思うなよ?


そして、翌朝。

俺たちのチームに一本のポスターケースが届いた。

三波からだった。


受付の女性社員が言うには、出社した時には警備員がそれを携えて受付で待っていたらしい。

「昨夜遅く、社員の三波さんが警備室に来て「成海さんに渡して欲しい」と頼まれました」
と言い、警備員はポスターケースを女性社員に預けていったという。

「三波さんは今日から出社の予定でしたよね?」
と、仁科係長はそう言ってみんなと同じく俺がポスターケースから中身を取り出すのを見ている。
「俺もそう思って朝から説教をしてやろうと思っていたんですけどね……」
と、何枚かの中身を出していると、小さな紙がひらりと落ちた。手に取ると、三波が書いたらしきメモだった。

『教会のデザインをお届けします。明日から出社します。ご迷惑をかけて申し訳ありません。三波』

その丸みのある文字を見つめる。確かにあいつの文字のようだ。
「部長」
と呼ばれて机上を見れば、外観パースと内装パース、平面図、それからUSBメモリが広がっていた。

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