俺が優しいと思うなよ?

眼鏡の紳士は獣に向かって言い聞かせるような口調で言う。
「いくら欲しい才能だからといって、女性を強引に口説くのは感心しないな。せっかくのクールのイケメンが残念なイケメンになっちゃうよ?」


私は眼鏡の紳士に促され、近くにあるレンガ造りのお店に入った。
各テーブルのランタンの灯りが素敵な、落ち着いた感じの店内だ。
「ここはイタリアンのお店なんだ。お腹すいてるでしょ?好きなものを頼んで」
「いえ、私は…」
名前も知らない男性たちと食事なんて、と慌てて遠慮する。
眼鏡の紳士の隣の獣は、少し不機嫌な顔をして大人しくしている。二人は見た感じ獣の上司が眼鏡の紳士のようだ。
「じゃあ、パスタやピザを頼んでみんなでシェアしよう」
ということになり、いくつか注文した。
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