俺が優しいと思うなよ?
「では改めて。昨日は突然声をかけてごめんね。僕は響 恭介といいます」
と、眼鏡の紳士はそう言って私の前に名刺を置いた。
響建築デザイン設計事務所 代表 響 恭介
代表ということは、社長なのか。
私は愛想良く笑う眼鏡の紳士に視線を向けた。
彼はニコニコと、
「改めてちゃんと話をする機会を作ろうと思ったんだけど、コイツが暴走しちゃって」
と、隣でムスッとしている獣をさす。
響さんと一緒に置かれた、もう一枚の名刺を見る。
響建築デザイン設計事務所 監理部部長 一級建築士…。
成海 柊吾。
成海柊吾、ですって?
その名前が間違っていないことを確かめる。名前の文字を見て、背中をゾクッと震わせた。