俺が優しいと思うなよ?
「実は駅裏の商店街だった区画が都市開発区域となって、新たな街づくりが計画されていることは知っているかな?」
食後のコーヒーに口をつけた響さんの話に、私は頷く。
一昨年前から駅裏に住む商店街の住人が他の土地へと引っ越し、無人となった商店街の解体作業が行われた。今ではすっかり広大な更地となっている。
「その都市開発が始まることになってね。オフィスビルと連結した上階層がホテルとなる巨大複合商業施設、病院、低層マンション、公園、教会。バスやタクシーのロータリーと車のパーキングエリアなどが建設、整備される予定なんだ。これらはスーパーゼネコンである大政建設がメインとなって動くことになっている」
「そうなんですか…」
私はその説明にもう一度頷いた。
大政建設といえば、国内外関係なく住宅から巨大ビルや大きなダムまで建設を手掛ける最も大きなゼネコン企業だ。
私が建築デザイナーだった頃も、会社で大政建設の仕事を請け負ったことがあった。