シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

憂が引き出しから箱を出してきた

久しぶりに見た

その箱にテーピングセットが入ってる

オレ専用だった



「久しぶりだな…
できるかな?」



憂が言いながら箱からテープを出した



憂の前にオレの手を出した



「痛そう…
痛い?」



オレの手を触って憂が聞いてきた



「痛くない、大丈夫…」



「謙士の手、あの時より大きくなってる」



「あの時…って…
だってあの時はまだ小学生だったし…」



あの時と違うことが

いろいろある



オレも憂も成長してる



あの時も

オレのために

テーピングしてくれてる憂を見てるのが

好きだった



一生懸命でかわいかった



「謙士、大丈夫…?」



憂がオレの顔を急に見た



ドキン…



「うん…」



心臓が止まりかけた



憂から目をそらした



じょーくんのポスターと目が合った



なんだよ!

こっち見んな!

オレが一生勝てない男



でも今は

憂はオレを見てる



じょーくんを見てない



オレがテーピング頼んだから

仕方なくしてるだけだけど…



「はい…できたよ!」



手際よく憂がテーピングを終わらせた



「あ、ありがと…」



ー終了ー



一瞬だけ憂を独占できた



「役に立った?」



「え?」



「私、謙士の役に立ったかな?」



「あー、うん
役に立った!
ありがと…」



「邪魔じゃない?」



「え…」



「謙士の邪魔してない?」



やっぱり気にしてる



「ごめん…
この前は…
邪魔とかじゃないけど…
なんて言うか…」



ただ

ドキドキして

また好きになりそうだったから…



「謙士の邪魔したくない
謙士が頑張れるように力になりたい!」





ありがと



憂の気持ち嬉しい



「力になってるよ
憂がいるから頑張れる」



「え…」



なんかオレ

今恥ずかしいこと言った?



「あ、憂が、頑張れ!って言うから…」



言い直した



「私が謙士に出会った時
もぉ謙士は頑張ってたよ!

謙士、野球大好きなんだな…って思った」



「うん
オレ、野球しか知らないから…」



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