シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

「謙士ー!」



「おお!!!急に入ってくんなよ!
しかも、うるせーし…」



憂だった



「あけましておめでとう!!!」



ライブのテンションのまま入ってくんな!



「おめでと」



「じゃ、腹筋する?」



「は?」



「謙士、部屋に行ったから
筋トレするのかな…って…」



「夕方したから大丈夫」



「そっか…
今年も野球頑張ってね!」



「言われなくても頑張るから…」



「あ!お正月はお餅食べようね!
体力つけるチャンス!
筋トレはサボらずに…」



「ハイ、ハイ…
オレのことなんか考えなくていいから
じょーくんのこと考えてろよ
年越しライブ見なくていいの?」



「だって、謙士が筋トレすると思ったから…」



「だからしないって…
もぉ寝る
明日の朝、野球部で初詣行くから…」



「うん、わかった
じゃあ、おやすみ…」



「おやすみ」



「あ!」



「なに?声デカいからビックリするだろ!」



「ハグ!」



「は?なんの?」



「あけましておめでとう!のハグ」



「そんなの聞いたことない」



「じゃあ、今年から!
ハイ!」



憂が手を広げると

ハグしてしまう



たぶん、したいけど…



ドキ…

ドキ…

ドキ…



やっぱドキドキする



だって好きだもん



「次…今年も野球頑張ってね!のハグ…」



憂がそう言って

ハグを続けた



ドキドキ…

ドキドキ…



「次…おやすみ…のハグ」



なに?





ドキドキ…

ドキドキ…

ドキドキ…



「謙士…」



「なに?」



なんなの?憂



さっきまでリビングで騒いでた憂が

汗ばんでて

甘い匂いがした



ドキドキ…

ドキドキ…



「好きだよ…のハグ…」



ドキン…



「は?なに?からかうなよ!」



オレにハグしてる憂を押してしまった



だって憂が

ドキドキさせるから…



オレテンパってる



髪が乱れて

憂の顔が見えなかった



「あ…ごめん…
憂、変だよ
憂が変なこと言うから…」



「謙士は?
謙士は好きじゃない?」



髪を整えて憂がオレを見た



ドキン…



「好きじゃない…?って…
え…」



何言ってんの?





何聞いてんの?





憂が好きなのは

じょーくんだろ



何?

この空気



気まずい



新年早々この雰囲気

嫌なんだけど…



「憂…
好き…って…
嫌いじゃないってことだろ?
嫌いじゃないよ、憂のこと…

あ、うん…嫌いじゃない!
嫌いじゃないに決まってるじゃん!
そんなこと、聞くなよ」



照れ隠しにそう言った



「…」



憂?

また怒った?



「あ、いつもありがと…
応援してくれて…
憂がマネージャーしてくれて助かってる」



オレ

超焦ってる



変な汗でる

めちゃくちゃ熱い



「うん…おやすみ…」



バタン…



後味悪い





どーした?



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