シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

憂が何も言わないから

憂の部屋まで黙ってついてった



「帰って、筋トレしないの?」



憂に言われた



なんだよ

素っ気ない

やっぱ怒ってる?



だよね

せっかく来てくれた憂を

土手に置いてきた



酷くね?オレ

オレが悪い



「うん…
だってずっとマネージャー来ないし…」



「ずっとサボってたの?」



「まさか!ちゃんとやってたよ!
餅も食ってたし…
食いすぎて飽きたわ」



「ちゃんと食べたんだ…」



「だって…
マネージャーに言われたし…」



アレ…

憂の部屋

なんか変わった



模様替えした?

でもベッドも机も同じだよな



「バイトもしないでずっと部屋にいたら
また太っちゃうよね
謙士頑張ってるのに…」



憂が部屋を片付けながら言った



憂の机の上に本がいっぱい積んであった

野球…
栄養管理…
体力作り…



ん?



広げられてるノートにいっぱい字が書かれてた

もぉすぐテストだっけ?



『謙士ノート』

ノートの表紙にそぉ書かれてた



「ダメ!見ないで!」



後ろから憂が来てノートを閉じられた



机の上にアルバムもあった



「あ…懐かしー」



オレの写真がいっぱいだった



小学生の時からのオレ

ほとんどが野球してた



憂と一緒に撮った写真

中学の入学式

ふたりとも恥ずかしそうにしてる



「この時、憂と身長変わらないな…」



「…」



無視かよ!

やっぱりこの前のこと怒ってる



そりゃそーだよな

オレが悪い



「この前は、ごめん…

せっかく来てくれたのに
置いてきて…

憂がじょーくん好きなのはわかってるけど
なんか…
比べられたり、重ねられたりするのが
嫌で…」



憂の部屋って

こんな殺風景だっけ?



なんか違う



「あ!」



「なに?謙士
急にびっくりするよ」



「ポスターは?
じょーくんのポスターは?」



壁一面に貼ってあったじょーくんのポスターが

1枚もなかった



「全部、友達にあげちゃった」



「なんで?どーしたの?
いくらバイトなくてヒマでも
それまで処分しなくてもいんじゃね?」



あんなに好きだっただろ

じょーくん



「謙士にじょーくんは重ねてないよ

じょーくんより好きな人がいる

だから、ポスターも全部剥がしたの」



「え…」



バットで殴られたみたいな

衝撃だった


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