シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

「ずっと黙ってたけど
謙士に聞いてほしいな…」



聞きたくない


オレは憂に背を向けた



「あのね…
謙士のママ、NIGO!好きでしょ
謙士のうちに行くといつもDVD見てて
私もNIGO!のファンになったら
毎日謙士の家に行けるな…って…

毎日謙士がソファーから見てて…

いつも野球ばっかりの謙士が
少しでもこっち見てると嬉しくて…

それしか思い浮かばなかった

謙士が私を見てくれる方法」



へ…オレが…?憂を…?



なに言ってんの?



なんの話?



「もぉ少し聞いて…
いつも野球の大会があると見に行ってた
謙士、知らなかったでしょ

野球やってる謙士が好きだったけど
野球に夢中な謙士は私を見てなくて…

部活引退してから
告白してくれた時は
ビックリしたし嬉しかったけど
付き合ったら
また謙士が野球に戻った時
辛くなるな…って…

それで振ったのに…
謙士、野球やめたし!
私がどんな気持ちで謙士の告白断ったか…
野球続けてほしかったからなのに…

しかも同じ高校だなんて…
やっぱり付き合っておけばよかったな…って
悔やんだよ

でもね
また謙士が野球やってくれて嬉しかったよ
ありがとね
また頑張ってる大好きな謙士が見れた

NIGO!のコンサート
一緒に行けたのも嬉しかった
デートみたいだったし…
ドキドキして…
思い出すと、恥ずかしくなる

謙士…
謙士にじょーくんは重ねてないけど
謙士とじょーくんは比べちゃう

謙士…ごめん…

私ね…
じょーくんより、謙士が好きだよ」



バットで殴られたあと

心臓が飛び出しそうなくらい

大きく動いた



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