シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜
ドキ…
ドキ…
ドキ…
振り向くのが怖かった
振り返ったら
憂
いないとか?
ドキ…
ドキ…
ドキ…
ゆっくり振り向いたら
憂がいた
ドキン…
「憂…このまま消えたりしないよね?」
「消えちゃうかも…
…
もぉ…ドキドキしすぎて…
あー…言っちゃった…
…
絶対言わないって決めてたのに…」
「や…言えよ!
そんな大事なこと…」
「わかってよ!」
「わかんねーよ!」
「だよね…
謙士、野球やってると
野球ばっかりで周り見えてないもんね」
「悪かったな!」
「悪くないよ
そんな謙士が好きだから…」
ドキン…
「憂…
…
好きって…?」
「うん…好きだよ、謙士」
「え、えっと…
控え目に言って
嫌いじゃないってこと?」
「うん、嫌いじゃない」
憂が笑った
照れた笑い方がかわいい
「えっと…じゃあ…
どれくらい、好き?」
「どれくらい…んー…
謙士のこと…?」
ドキドキ…
ドキドキ…
「うん…」
ドキドキ…
ドキドキ…
「謙士の…
…
えっと…謙士のファン!
ずっと謙士のこと応援してるよ」
目が合って
時が止まった
え…
心臓の音が
少しずつゆっくりになってく
熱が冷めてく
ファン?
ファン?
好きって…
ファン?
なんだ
ファンかよ!
嫌われるよりいいか…
「あ、ありがと…」
「うん、これからも頑張ってね!
応援してるね!」
憂が微笑んだ
ドキン…
この期に及んで
憂の笑顔にまだドキドキする
「そんな顔、すんなよ!」
「そんな顔って…
どーせ可愛くないもん!」
「可愛くないとかじゃなくて
こっち見んな!」
かわいいよ
憂は
もぉ期待させんな
オレのこと
ドキドキさせないで
「じゃあ、オレ、帰って筋トレするから…
あ!マネージャーまたサボらないで来いよ!」
気持ちの整理させて…
「うん!頑張ってね!謙士」