シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

土手を通って帰った



夕日が落ちて暗くなった



「寒…」



憂の手をそっと繋いだ



「ん?なに?」



憂が少し驚いた

憂の手に力が入った



「オレが、寒かったから…」



ホントは熱かった

オレ焦ってる



さっきのキス見たら心拍数上がったし…



「テストなんだから風邪ひかないでね!
健康管理、大事だからね!」



ドキドキする

オレから繋いだクセに



「憂は、繋ぎたく、なかった…?」



憂を覗き込んで聞いた



「…ん?…繋ぎたかったよ…

いいな…って…
さっき、思ったよ」



「うん…」



オレも思った



「でも…緊張する…」



「なんで…?
前も繋いだじゃん
北海道で…」



「うん、でもあの時は
お互いの気持ち知らなかったでしょ

謙士、もぉ私のこと好きじゃないと思ってた

私は…好きだったよ
謙士のこと

だから、繋いだ」



たしかに

憂がオレのこと好きだなんて

1ミリも思わなかった



「あの時は、じょーくんに夢中だったクセに…」



「そぉ見せかけて
謙士のこと好きだったよ…」



「オレも好きだったし…

今も…好きだよ…」



ドキン…



憂からも同じ音がした気がした



「謙士、それ反則だよ!」



憂が顔を上げたら近かった



ドキン…



憂が止まった



「憂…」



動かなくなった憂がかわいすぎて

キスしたくなった



マフラーで口元が隠れてた



ーーー



頬にキスした



胸がキューッてなって

繋いでた手がもっと熱くなった



「謙士、ズルい…

私、余裕ない…」



「え…憂さっき自信あるから余裕って…
ごめん、遠回りして…
勉強しなきゃな
帰ろっか…」



「テストじゃなくて…

こんなことされたら
なんか…引退まで待てるかな…って…
考えたら…どーしよ…って…余裕なくなる…」



ドキン…



ホントに余裕なかったのは

オレだった



ーーーーー



憂のマフラー押さえてキスした



気持ちが溢れた



ドクン…



「憂…好き…」



ドキドキ…

ドキドキ…



「ん…」



憂がうつ向いた



「ご、めん…怒った?憂」



暗くて憂の顔はよく見えなかったけど

繋がった手は

なんとなく優しかった



「怒ってないけど…
もっと余裕なくなった」



「え…」



ーーー



今度は憂が背伸びしてキスしてきた



ドキン…



「お返し…
テスト、頑張ろ!」



「あー、うん…」



やめろ

不意打ちとか

ズルいだろ



ドキドキ…

ドキドキ…

ドキドキ…



コレって

付き合ってる?



より、楽しくね?



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