シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜
最後に控室を出た
西日が差してて眩しかった
「謙士、おつかれさま!」
球場を出たら憂が待ってた
「なに?出待ち?」
照れくさくて
そんなことを言ってしまった
「そーだけど、悪い?
謙士の熱狂的なファンだから!」
シャツから出た腕が日に焼けて赤くなってた
「応援、ありがと…
…
憂のおかげで頑張れた
オレに野球させてくれてありがと…
…
ずっと支えてくれて
ありがと…」
「うん…
謙士、おつかれさま
今日も、白いユニホームが似合ってたよ
今まで、最高のファンサありがとう」
「うん…
…
それから…
待っててくれて、ありがと…
…
約束、覚えてる?」
「うん、覚えてるよ
…
引っ越してきた私に優しくしてくれて…
なのに私、恥ずかしくて
最初は素直になれなかった
…
でもね
私に話し掛けてくれる謙士見てたら
謙士のこと気になって…
一生懸命野球やってる謙士見てたら
いつの間にか好きになってた
…
アレ…
私、緊張しちゃって…
なんか、いっぱい喋っちゃった」
西日に照らされて憂の目が茜色に透けた
ドキン…
「好き…
謙士…ずっと、好きだった」
憂の目に茜色の涙が溜った
「憂、ずっと、待っててくれて
ありがと…
…
それから…
オレの彼女になって…」
「はい…お願いします」
憂の目から涙が溢れた
憂を抱きしめた
「憂…好きだよ
…
ごめん…
辛い想いさせて…」
「違う…違うよ…
…
辛くて泣いたんじゃない
…
嬉しくて…」
「ごめん…憂…
…
大好きで…」
「そこは、謝んなくていいよ」
憂が笑ったら
もっと涙が溢れた
憂
ホントに今までありかとう
憂のその笑顔に
何度も励まされた
ずっと好きだった
ずっと、ずっと…
たぶん
これからも、ずっと…