シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

野球引退したから

憂と付き合えた



またオレが野球始めたら

オレたちは…



手を繋ぐことも

キスすることも

またできなくなる?



「憂、進路決めた?」



「うん、決めたよ!」



「大学?それとも…」



「謙士の推し!」



「は?」



「ずっと決めてた
謙士がこの先、やりたいことがあったら
私は応援するよ!」



「例えば…?」



「ん?
例えば…
うちのチームに来てください!って
言ってくれる大学があったら
ぜひお願いします!って
私も推すからね!」



「え、憂、もしかして知ってる?」



「うん
知ってたよ!

大会とか試合見に行くと結構来てるんだよ
大学野球のスカウトマン」



「そーなんだ…」



「いい選手だな…って
私の隣にいたオジサンが呟いたから
推しといたよ!

謙士は、ホントに野球好きなんですよ!
熱心で野球のことしか考えてないし
人一倍練習して、人一倍楽しそうで
人一倍悔しそうで、人一倍熱いんですよ
その為に彼女作んないし
チームにいたら損はしませんよ!って…」



「え、マジ?
オマエ…」



「ん?ダメだった?

でも…
今度はファンじゃなくて
彼女として謙士を支えたいな…

だから
大学行って、野球続けなよ

好きなんでしょ…野球

好きなんでしょ…私のこと」



「憂…オマエ…

最高の推しだな!」



オレの推しは

オレのことを本気で推してくれてた



それから…

オレのこと

大好きなんだろ



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