シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜
「謙士、髪伸びたね…」
憂がオレの前髪に触れた
苺と憂の匂いが混ざって
オレの鼻に届いた
ドクン…
やっぱりかわいいな
憂
白い肌
目がクルクルしてて
睫毛が長くて
出会った時ショートだった髪は
腰近くまで伸びてた
憂の頬に触れるのが好きだった
柔らかくてオレとは違う
口元にエクボが出ると
かわいいな…って見惚れてしまう
細い手足
しなやかな仕草
甘い匂い
成長する過程で
憂との違いを感じた
そんな憂をオレはどんどん好きになった
「なんか、まだ見慣れない…
坊主じゃない謙士」
ドクン…
うん、オレも見慣れなかった
どんどん女の子ぽくなってく憂
憂がオレをジッと見た
ドクン…
憂…オレ…
「謙士、ちょっと、じょーくんみたいだね」
え…?
じょーくん?
ズキン…
「触んなよ!」
オレの前髪に伸びた憂の手を払い除けた
アイツと重ねられたのが嫌だった
髪型同じだって
オレはアイツじゃない!
最初はじょーくんと同じ髪型にして
憂の気を引こうと思った
結局髪型マネしたって
意味なかったんだ
オレはオレとして
憂に好意を持ってほしかった
じょーくんみたいだから
そんな理由なら
意味ない