シンデレラは、ここにいます。〜オレの推しの推し〜

「おーーー!!!ビックリしたー!!!
オマエたち、な、なんだ?」



横を通った中年に声を掛けられた

父親だった



最悪



「謙士パパ!」



「憂ちゃん、こんなところで…
謙士オマエ…!
高校生が道でイチャイチャしてると思ったら
まさか…」



「うるせーな!
イチャイチャとか言うなよ!
頑張ってのハグだよ」



イチャイチャっていう言葉が

不健全



「うん
謙士が次も頑張れるように!」



「じゃあ、次はホームラン2本だな!謙士」



「3本ぐらいいけるかも〜」



憂がハグしてくれたから調子乗った



「すごーい!謙士」



良かったのか悪かったのか

父親の登場でこの場をしのげた



心臓がバクバクいってた



父親に会ってなかったら

どぉなってた?





いつまでハグしてた?



下心でハグしてとか言ったわけじゃないけど

不覚にもドキドキしてしまった



背中に感じた憂の体温

秋の風に運ばれる憂の甘い匂い

オレの前にまわされた小さい手が
かわいかった



憂は笑ってるけど

ドキドキしなかった?



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