夜、出会ったあの人は。
私、星野 蓮は毎晩寮を抜け出しひっそりと散歩をするのが日課だ。それはここ、琴鳴学園に入学してから4年、ずっと続けている。琴鳴学園は有名な私立の進学校で、特別科などが多く、スポーツコース、芸能コース、マネージャーコース、音楽コース、芸術コースなど、様々なコースがある。この学校から出た有名人は数知れないほどいる。また、図書館やプールなどいろんな設備が整っていることも有名で、なによりも有名なのは全寮制なことだ。部屋は一人ひとつ、男子を入れることは8時まで出来るが1体1はダメ、クラスで集まる時だけ、ということもあり、恋愛の不自由はあまり感じない。全寮制にしてはゆるいルールなのでかなりPTAから文句も来るらしい。ルールがゆるいこともあり、子供からは人気で中学受験の倍率は役5倍。しかも、偏差値65。かなり頭が良い事になる。まあ、そんな狭き門を突破していま高1なのが私なのだが。部屋に何を置いても怒られないので、テレビやゲームをして夜更かししている子も多い。まあ、そんな学校の話はもう良いのだが、私はクラスの中でも陽キャと呼ばれる方で、成績はいつも学年10番以内に入るくらいだ。だが本当の私は漫画やアニメ、本が好きでなかなかのオタク。それでも性格は陽キャなのだが。いつも部屋の中ではメガネをかけ、夜中まで勉強するか漫画を読むかしている。友達にはメイクをとってメガネをかけている姿を見せたことはない。それで、いい加減なぜ夜の散歩を始めたか話そう。理由は…、息が詰まるから、だ。あんな仮面を被って勉強してないふりして勉強して、本当は好きじゃない甘すぎるジュースを飲んで、面白くないライブ映像を見させられたりして。でもさ、こんな私を捨てたら私のせっかくの良いイメージが崩れちゃうって思っちゃうんだよね。まぁ、私みたいな奴、世の中には山ほどいるんだけど。だから、外の空気を吸うために始めた散歩が癖になってきて、秘密のめちゃくちゃ夜景が綺麗なところも見つけられて、とっても嬉しかったんだけど、そんな日、ある日ね…。