エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

 完成した牛丼にたっぷりの七味をかけて栄養と元気を補給し、お気に入りの音楽を聴きながら長めにお風呂に入るとだいぶスッキリした。

 ただ、やせ我慢して久々にパンプスで帰ってきたので、足の小指が少しひりひりした。傷にはなっていないけれど、擦れたせいで赤くなっている。

 でも、これ以上悪口は言われたくないし……。しばらくパンプス通勤を頑張れば、足の皮が厚くなって耐えられるようになるかもしれない。

 自分にそう言い聞かせつつ、患部に擦り傷用の軟膏を塗って眠った。

 そうして、なんとか気持ちをリセットして出勤した翌日。

 朝、いつものように社長室でメールチェックをしていると、社長が女性のお客様を連れて部屋に入ってきた。

 スレンダーな体に身につけているのはエレガントなスーツ。そしてイヤリングや指輪、ネックレスなどのアクセサリーには一級品のジュエリーが散りばめられ、まばゆいくらいに輝いている。

 社長のお母様だ。見覚えのあるその顔に、私は思わず緊張して席を立った。

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