エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
一緒にいればいるほどお互いを好きになり、やがて結婚を意識した父は、コツコツ貯めたお給料で母のためにブルーサファイヤの指輪を購入し、プロポーズした。
母はもちろん承諾したのだけれど、めでたくゴールイン……とはならず、母の両親がふたりの結婚に猛反対。
それでもめげなかった母は、父にもらったブルーサファイヤの指輪だけを持って、夜中にこっそり家を抜け出した。
そして当時独り暮らしをしていた父の部屋へ行き、駆け落ちしようと持ち掛けたそうだ。
覚悟を決めた父と母は思い切って仕事を辞め、福島の山奥で一から農業をすることに。素人なので最初の数年は苦労したそうだけれど、今ではとっても美味しいアスパラガスとニラを作っている立派な生産者だ。
そんなふたりの固い決意と行動力に母の両親も根負けし、最終的には結婚を祝福してくれた。
私が子どもの時、母の両親はごく普通の優しいお祖父ちゃんとお祖母ちゃんだったので、母からその話を聞いた時には驚いたものだ。