エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

「あれ? なにか入ってる……。大和さんのですか?」

 中は空だと思っていたけれど、ハンガーに掛かった白い服が一着だけポールにぶら下がっていた。なにげなく手に取った私は、ぽかんと口を開けて固まる。

 袖とウエストの部分がレースになった、丈の短いワンピース。よく見るとハンガーにはポーチが一緒につけてあり、中にはもこもこしたチョーカーとポンポン(尻尾?)、ウサギの耳のカチューシャ、レースのソックスが入っている。

 これを女性が着たら、さぞセクシーでラブリーなウサギさんに変身できることだろう。

「これは、さすがに俺のじゃないだろ」

 近づいてきた大和さんが、クスクス笑う。

「えっと、ではどなたの?」
「叶未のために買ったに決まってるだろ。ハロウィンパーティーの衣装、まだ用意してないと言っていたから」
「なるほどハロウィン用の……って、ええっ!?」

 当日のパーティーは確かに仮装が必要で、どんな衣装を着るのも自由だ。だけど、私はもっと地味な、真っ黒なローブの魔女とかでいいかと勝手に思っていた。

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