エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

 目標だった夕方までにはだいたい部屋を片付け終わり、私たちはリビングに移動した。

 疲れてなにもやる気が起きないという大和さんの提案で、夕食はデリバリーを利用することに。

「届くまで待てないな。ビールを開けようか。叶未はどうする?」
「じゃあ、同じものをお願いできますか?」
「了解。とっておきの、美味しい地ビールがあるんだ」

 ソファから立ち上がり、キッチンに向かう大和さんの後ろ姿を見ているだけで、なんて幸福なんだろうとしみじみ思う。

 腕まくりをした白いコットンシャツに、くるぶし丈のデニムというレアな私服姿を見られるのも、彼と結婚したからだ。

 秘書としてそばにいるだけだったら一生見られなかったそのプライベートな姿に、今日一日で、何度ときめかされたことか。

 夢見心地でいるうちに彼がキッチンから戻ってきて、手にしている二本のビールの小瓶をテーブルに置き、順に栓を抜く。

 炭酸が抜ける小気味よい音がして、大和さんが二本のうち一本を私に手渡した。

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