エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
インクルージョン*嫉妬
「おはよう。早いな」
「は、はい。まだ新しい寝床に慣れないのか、眠りが浅くて目が覚めちゃって」
大和さんと結婚生活を始めて四日目の朝。出勤準備を完璧に済ませた私が朝食の準備をしていると、大和さんもシャツとスラックス姿でキッチンにやってきた。
「あまり合わないか? あのベッド」
コンロで目玉焼きを焼いている私の隣で、大和さんはコーヒーメーカーの準備をしながら聞いてくる。
私たちの朝は、できる人ができることを、というスタイルで、こうして協力しながらキッチンに立つのが定番になりつつある。
会社では私が一方的に仕える形なので初日は恐縮してしまったが、朝はお互い忙しいので協力を仰ぐ方が効率的だと気づき、二日目からは大和さんの優しさをありがたく受け取っている。
「いえ、ベッドの寝心地はとてもいいので大丈夫です。ただ……」
「ただ?」
初めてのキス以来、大和さんは眠る前にいつも触れるだけの優しいキスをくれる。私はその口づけに毎度のように心乱され、興奮で目が冴えて眠るどころではなくなってしまうのだ。
……なんて正直な理由を、口に出せるわけがない。