エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

 相変わらず、本当にカッコいいな……。

 私はパソコンを見ているフリで、自分のデスクに移動する社長をさりげなく目で追い、今日の彼の見た目チェックをする。

 細いフェイスライン、釣り眉に垂れ目の甘い目元。、スッと通った鼻筋に薄めの唇。直毛の黒髪ショートヘアは、軽く前髪を横に流しワックスで艶と束感を出している。三十二歳という年齢を感じさせない、爽やかな印象だ。

 身に纏う光沢のあるブラックスーツはイタリア最高峰のブランドのもので、シルエットは細身。

 彼の抜群のスタイルがますます引き立っているので、うっかりジッと見入ってしまいそう。

 しかし、そこまであからさまに態度に出せないのが、臆病な私の片想いスタイルである。

 あなたの容姿をチェックしていましたとはおくびにも出さず、真面目な秘書の顔でカタカタとキーボードを打つ。

< 7 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop