エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
「きれいです……」
自然と笑顔になった私を見て、大和さんも微笑んで頷く。
「これは、社長就任の祝いの品として父からもらったオレゴンサンストーン。太陽の石とか、エネルギーを活性化させる石、なんて言われてる」
就任祝いのプレゼントが宝石だなんて、さすがは今でもジュエリーを求めて世界を飛び回っている大和さんのお父さまだ。
宝石の持つ意味も相まって、大和さんにとって最高の贈り物だったんだろうな。
「確かに、パワーを感じる石ですね」
「あと、インクルージョンが綺麗だろう? 基本的にジュエリーはインクルージョンが少ない方が価値が高いとされるが、個人的にはインクルージョンが放つ唯一無二の輝きに惹かれる。不純物だなんて言われるけどね」
「ええ、私もそう思います」
どこまでも澄んだ宝石も美しいけれど、天然石特有のそれぞれに違う輝きは、インクルージョンによるところも大きい。このオレゴンサンストーンも、本当に綺麗だ。
「だからさ、叶未」
大和さんがルースケースを取り、代わりに自分の手を置いて私の手を軽く掴む。戸惑って彼を見つめると、彼は私の手をぐっと引いて、倒れ込んだ私をギュッと抱きしめた。
反射的に、顔がかぁっと熱くなる。