エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました

「……ええ、私はいつも通りですよ。今日は、社長が熱望されている合成ダイヤモンドの研究所設立に関する大事な経営会議ですから、むしろ張り切っているくらいです」
「そう? ならいいけど」

 社長は不満げながらも最後は納得し、自分のデスクに戻った。私は胸をなで下ろして、メールチェックに戻るのだった。


 午後三時からの会議に合わせ、三十分前には会議室の設営に入った。

 壁際に畳んであったテーブルをコの字型に設置し、その上に人数分の資料を並べる。

 現在社長の方針で、会社全体でペーパーレス化を進めている最中だが、タブレットでは複数の資料を見比べられなかったり、年配の社員が閲覧に手間取ったりする。

 そのため、紙で必要な資料のみ印刷し、タブレットも併用しながら会議を進める。

 社長は最初すべての会議をペーパーレスで進めようとしていたのだが、恐れながらも秘書として感じたデメリットを挙げ再考をお願いしたところ、現在の形を取るようになった。

< 9 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop