エリート御曹司の秘書兼、契約妻になりました
「お願いします、大和さん……。教えてください。私の知らないこと」
「うん。任せて、俺のかわいい奥さん」
冗談めかしてそう言った彼に手を引かれ、一度も入ったことのなかった彼の寝室に足を踏み入れる。
彼がリモコンを操作すると、天井の一部に取り付けられた間接照明から淡い光が漏れ、グレー系のダークなトーンでまとめられたインテリアを照らした。
大きなベッドに並んで座り、そっと肩を抱かれる。見つめ合うとそれだけで胸が熱くなって、どちらからともなく、引き合うように唇を重ねた。
大和さんのキスはいつも優しく、時に礼儀正しさすら感じるほどだけれど、ベッドの上で交わすキスはまったく違った。
激しくはないのに、濃厚で、執拗で。ゆっくり口内に侵入してきた舌が、私の味を確かめるように蠢く。
逃げられないように両手で顔を掴まれ、絡み合う舌を伝って甘い唾液を注がれながら、ゆっくりベッドに倒される。
ますます逃げられない体勢になるとともに、大和さんの手が器用に私のカーディガンを脱がせた。
いつもはそれを着ていないと肌寒いのに、脱がされてもなお熱くなる自分の体が怖くなって、キスの合間にすがるような声で「大和さん」と呼んだ。