俺と妻と傷口
幸せな朝
カーテンから差し込む、朝日。

キングサイズのベットの真ん中で、二人一つに抱き締めあって寝ている。
俺はいつも華恋より先に目覚め、その可愛い寝顔を見つめる。
朝のこの瞬間が好きだ。

「ん…」
あ、華恋が起きる。
慌てて目を瞑る。

「んー。起きなきゃ……奏多寝顔、可愛い…」
華恋が、俺の腕からゆっくり出ていこうとする。
それを阻止するように、抱き寄せた。

「え?奏多?
奏多~、離して。朝ごはん作らなきゃ…」
俺は寝たふりをして、抱き締める。

「奏多ー!起きて?ダメだよ、離して?」
「んーやだ……離さない…!」
「え?起きてたの?」
「フフ…」
「もう////離して!時間がなくなるから…」
「じゃあ…チューして?」
「もう!そうゆうの反則だよ…
ンン…
したよ?離して?」

「フフ…しょうがないなぁ……」
やっとそこで、華恋を離す。

「じゃあごはん作ってくるね!」
「うん、俺も起きる」
「また起こしに来るよ?」
「ううん、傍にいたいから行く」

そして華恋が顔を洗いに行ったり、調理中もずっとついて行き傍を離れない。

それが、俺の家の中での日常。

「━━━━━奏多って、不思議」
「ん?」
「元・暴走族の総長で、喧嘩強くて、背中に狼を背負ってて、今はまだ23歳なのに会社社長。
仕事中はクールで、怖いって言われてるのに、家の中では犬みたいに可愛い」
「そう?だって華恋と結婚できたこと、めっちゃ嬉しいんだもん!」
「フフ…可愛い…」
「ねぇその、可愛いってやめない?」
「どうして?」
「年下扱いで嫌」
「でも年下でしょ?」
「でも嫌!」
「わかった!なるべく言わないようにする!」
「よろしく!」
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