俺と妻と傷口
邪魔者
【不安】
*****華恋 side*****
トイレに行き、手を洗っていると先宮さんが入ってきた。
「久しぶり。野山さん。いや…今は鈴岡さんか」
「あ、お久しぶりです。先宮さん」
「相変わらず、人気ね。あなた」
「え?」
「どうやって取り入ったの?会長に」
「は?」
「どう考えても、そうとしか考えられないわ」
「まさか…そんなことしていません」
「そうかな~?」
含みのある彼女の笑顔。
前からそうだ。
先宮さんは、いつもそうなのだ。
私が社長(現・会長)秘書に抜擢された時も、散々嘘の変な噂をたてられ大変だったのだ。
「とにかくそんなことしてませんから。
失礼します」
そう言って、トイレから出ようとする。
「最近…」
「は?」
「奏多社長、仕事から帰った時私の香水の香りがすると思わない?」
「え…?」
「あなたなら、わかるわよね?その意味」
「━━━━━!!?」
「フフ…じゃあね、お疲れ様。奥様」
「華恋、遅いよ!」
トイレから出ると、奏多が駆け寄って来る。
「ごめんね…」
「もしかして、体調悪いの?」
「ううん」
「じゃあ帰ろ!親父に聞いたら、帰って大丈夫だって!」
「うん」
「帰って、ゆっくりしよっ!疲れた…」
「そうね…疲れたね……」
奏多の手を握る。
「華恋、なんか可愛い…」
と言って、握り返してくれた。
大丈夫。奏多は私を愛してくれている。
そう、自分に言い聞かせながら、会場を後にした。
トイレに行き、手を洗っていると先宮さんが入ってきた。
「久しぶり。野山さん。いや…今は鈴岡さんか」
「あ、お久しぶりです。先宮さん」
「相変わらず、人気ね。あなた」
「え?」
「どうやって取り入ったの?会長に」
「は?」
「どう考えても、そうとしか考えられないわ」
「まさか…そんなことしていません」
「そうかな~?」
含みのある彼女の笑顔。
前からそうだ。
先宮さんは、いつもそうなのだ。
私が社長(現・会長)秘書に抜擢された時も、散々嘘の変な噂をたてられ大変だったのだ。
「とにかくそんなことしてませんから。
失礼します」
そう言って、トイレから出ようとする。
「最近…」
「は?」
「奏多社長、仕事から帰った時私の香水の香りがすると思わない?」
「え…?」
「あなたなら、わかるわよね?その意味」
「━━━━━!!?」
「フフ…じゃあね、お疲れ様。奥様」
「華恋、遅いよ!」
トイレから出ると、奏多が駆け寄って来る。
「ごめんね…」
「もしかして、体調悪いの?」
「ううん」
「じゃあ帰ろ!親父に聞いたら、帰って大丈夫だって!」
「うん」
「帰って、ゆっくりしよっ!疲れた…」
「そうね…疲れたね……」
奏多の手を握る。
「華恋、なんか可愛い…」
と言って、握り返してくれた。
大丈夫。奏多は私を愛してくれている。
そう、自分に言い聞かせながら、会場を後にした。