俺と妻と傷口
「私にも…なんかつけて?印」
「え?」
「傷口…は痛いしな…?何がいいかな?」
「あるじゃん!印」
「え?どこに?」
「身体中にいっぱい……」
「え?何が?」
「キスマーク!いっぱいあるじゃん!華恋が俺のモノって印」
「フフ…確かに(笑)」
「あと、ピアスも!俺のをつけてるじゃん!そのピアスの意味教えたでしょ!」

【華恋、これつけて?
俺のピアス。片方ずつつけよ?
これは俺の族のトレードマークなんだ。
だから、このマークは華恋が俺の女って意味があるんだよ!】
付き合い始めた時に、奏多がそう言ってつけてくれたのだ。

私の左耳に触れる、奏多。
「うん…そうだね。そうだよね……」
不安になることないんだよね…?
私も奏多の右耳に触れた。
「奏多…もう一回……しよ?」

「………え…?」
そう言って、奏多の胸の傷口にキスをした。
「華、恋…?」
「お願い……」
「うん…でも、何があったか教えて?」
「え?」
「俺が、わからないとでも思ってるの?」
「え…」
「華恋の様子がおかしいの、とっくに気づいてるよ。
どうしたの?」
「ううん…何も」
「それはあり得ない」
「………」
「華恋がホテルのトイレから出てきた時から、様子がおかしかった。なんかあったとしか思えない」
「今は…言いたくない……」
「だったら、今日はもうこのまま寝よう」
「どうして?奏多はしたくないの?」
「したいに決まってんだろ?俺はいつだって華恋と愛し合いたい。でも華恋が悩んでるのわかってて抱くなんてできない。なんかそうゆうの…違う気がする…」
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