俺と妻と傷口

｢奏多が、華恋ちゃん怒らせた！｣
｢早く追いかけろよ！｣
｢うるせーよ！言われなくても追いかけるよ！｣
俺は慌てて追いかけた。

外に出ると、また華恋がナンパされていた。
｢は━━？またかよ？｣

｢どうしてくれんの？これ！｣
｢え…？でも、そんなに強くぶつかってない……｣
｢でも実際、君がぶつかってきたから落としたんだし！｣
｢私がぶつかったんじゃなくて、あなたが……｣
｢だから！付き合ってくれたら、チャラにするっつてんじゃん！｣
｢コイツを怒らせない方がいいよ！元・暴走族の総長なんだぜ！｣
｢え…？｣

｢何の話？
華恋？｣
｢あ、奏多！｣
｢奏多……？この名前どっかで…｣
｢華恋、ピアス見せてやれよ！｣
｢え？ピアス？｣
俺は華恋に近づき、華恋の左側の髪の毛を掴んで耳にかけた。

｢あ…このピアス……！｣
｢まぁ、お察しの通りコイツ、俺の嫁｣
華恋を後ろから抱き締め、男達を見据えた。
｢俺、今機嫌悪いからその総長とやらと、タイマンはってやってもいいぜ！それかお前等全員、相手しようか？｣
｢いや、結構です！すみませんでした！｣
そそくさと、行ってしまった。

｢華恋、この短時間で二回もナンパされるなんて、スゲーな！｣
｢ごめん…｣
｢別に！華恋が可愛いから、しゃーねーな！｣
｢………奏多のせいだもん…｣
｢は？｣
｢奏多が変なこと言うからでしょ？｣
｢あーそうだな。ごめん…｣
｢帰ろ？なんか疲れた…｣
｢あぁ｣