俺と妻と傷口
ゆっくり華恋を、下ろす。
俺も横になり、華恋を腕枕し抱き締めた。

「華恋…眠い…?」
「うん…さっきからずっと言ってるでしょ?
奏多の…せいで…目、開かない……」
そのまま眠ってしまった。

「……華恋?寝た…」
可愛い…。
確かに無理させてしまった。
ダメだ。
華恋のことになると、歯止めがきかない。

次の日の朝。
起きると、まだ華恋は眠っていた。
頭を撫でていると、
「ん……」
無意識に、目を瞑る。
「んー。
あれ?今奏多に、頭撫でられた気がしたんだけどな…。
気のせいか…。
フフ…可愛い……」

だから!可愛い言うなっつうの!
不意に華恋に胸の傷口を触られた。
「ごめんね……。
この傷口のせいで、力弥くんを傷つけちゃった……」
は━━━?
どうゆうことだ?

そこまで言うと、寝室を出ていってしまった。

ガバッと起きた、俺。
「今の………
なんだよ……?」
スマホを取り出す。
力弥に電話しようとして、手が止まる。
電話して何になるのだろう。

華恋に聞いた方がいいはず。

しかし華恋に聞こうにも、はぐらかせられ結局聞けぬまま、仕事に出た。
無理やり聞き出すこともできたが、あまりにも華恋が壊れそうで、それ以上聞けなかった。

【力弥くんを傷つけちゃった】
どんな意味があるのだろう。
俺ではなく、力弥。
力弥と付き合っていいとゆうのと、関係があるのか…?
色んな考えが頭をぐるぐる回っていた。
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