俺と妻と傷口
「じゃあ、最後の質問。
力弥に会ったの?」
「会ったってゆうか…今日買い物してたら、バッタリ会ったの」
「それで、可愛いって言われたの?」
「うん…。
力弥くんにも、なんで俺なの?って聞かれたの。
その時……」
「その時?」
「私が口つぐんでいたら、奏多みたいに目線を合わされて、見つめられたの。
その時にね………」
苦しそうに顔を歪ませる、華恋。
「華恋?」
「奏多…怒らない?」
「うん…」
「言わないと、キスするって言われて……」

「は━━━?
なんだよ…!されたのかよ!」
頭を振る、華恋。
「ただ…可愛いねって言われたの」
「そうか」
アイツも華恋のこと━━━━

「奏多…怒ってる…?」
「うん…でも、華恋じゃなくて力弥にね」
「も…離して…?
手…痛い……」
「あぁ。ごめん…華恋。
痛かったよな…ごめんな……」
ゆっくり華恋の起こした。
ベットの上に向かい合って座り、華恋を足の間に閉じ込めた。

「奏多…」
「何?」
「好き…」
「うん…俺も……」
「キス…しよ?」
「いいの?たぶん俺…止まらないよ…」
「私がキスしたいのは、奏多!」
「華恋…」
「一緒にいたいのも、奏多!抱き締められたいのも、奏多!抱かれいのも……奏多だけだよ…?」
そう言いながら、華恋は泣いていた。

「他の誰でもなく、奏多がいいの!だから…だからね……!」
「もういいよ!もうわかったから!
泣くなよ…!華恋の涙には、俺…弱いんだから…」
「はぁはぁ…。
奏多…ギュってして?」
「うん」
フワッと抱き締めた。
「もっと…ギュってして?」
「うん」

華恋が壊れないように、でも力の限り抱き締めた。

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