俺と妻と傷口
苦しみの奏多
*****華恋 side*****
「え……?雨…?」
天気予報では、晴れって言ってたのにぃ。
今私は買い物に来ている。

「どうしよう…買いすぎたし…。
傘買うのは勿体ないし……」
冷凍物も買っているので、早く帰りたいし……。

「あ、華恋ちゃん?」
「城野さん?こんにちは」
「どうしたの?」
「傘持ってきてなくて……」
「だったらこれ、どうぞ?」
城野さんが自身の傘を渡してくる。

「え…?でも、城野さんはどうするんですか?」
「俺はいいから…」
「よくないです!ダメです!」
「でも華恋ちゃん困ってるの、ほっとけないし」
「とにかくダメです!家近いから、走って帰りますから…!お気持ちだけ…ありがとうございます!」
そう言って、その場を去った。
両手に袋を抱えて、走った。

「ちょっと待って!」
城野さんが傘に入れてくれながら、呼び止められた。
「え?」
「だったら一緒に入ろう!」
そう言って、グッと腰を引かれた。
その勢いで、一気に城野さんの胸にぶつかった。

「あ、ごめんなさい…」
慌てて離れようとすると、更に引き寄せられた。
「え…あの……」
「濡れるから、もっとこっち!」
見上げると、城野さんが今まで見たことない男の顔をしていた。

「その顔……ヤバい……」
そしてそのまま…………
「ンン……」

キスをされた━━━━━━
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