俺と妻と傷口
「奏多…ずっとそう思ってたの?」
「そうだよ…!」

「ふざけないでよ!!?」
華恋の大きな瞳から、涙が溢れていた。

「言ったでしょ!?
私が好きなのは、奏多。
一緒にいたいのも、抱き締められたいのも、抱かれいのも、キスしたいのも奏多だけだって!!
怪我のせいで、受け入れたんじゃないよ!」
「だったら!もう行くなよ!
アイツのとこなんかに!!」

「だからそれは……。
まだ不便なとこがあるから、力になりたいだけ!」

「…………だったら!!!」
「え━━━?」
俺は華恋をそのまま押し倒し、フローリングに組み敷いた。

「俺が今から、怪我したらずっと傍にいてくれるのかよ!?
華恋が傍にいてくれるなら、俺のこの腕……切断しようか…?」
「奏…多?」

「生活が不便になればいいんだろ!?
だったら、こんな腕なんかいらねぇよ!」

「冗談やめて!!」

「俺は本気だよ……?」
「奏多……やめて…?」
「華恋が傍にいてくれるなら、なんでもする。家に二人で閉じ籠ろうか?
今から華恋を縛り付けて、どこにも行けないようにしようか?」
「やめてよ!!」

「だったら、行くなよ!!!
………頼むから…行かないでよ………」

「奏多……」
「苦しいんだ………華恋が傍にいないと……」

その日はそのまま、抱き締めあっていた。
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