俺と妻と傷口
「では、行ってらっしゃいませ」
「ん。ありがと」

社内に入る。
「奏多社長!おはようございます」
「おはよ」
コイツは秘書の先宮。
確か…城野と同期だから、華恋の2・3歳上だったか?

てか、香水臭っ。

華恋に早く会いたい。
華恋の甘い匂いが好きだ。

「社長。こちらが今日の予定です」
「わかった」
「あと…」
「まだあんの?」
「今日の昼食ですが━━━━」
「行かないよ」
「は?」
「昼食一緒しませんか?だろ?
行かない。仕事以外でここの人間と関わりたくない」
「………」
「何?違うの?」
「いえ……」
「だったら出て行って?ドア、あっち!」
そう言って俺は、ドアを指差した。

「━━━━━息苦しい……」
俺はため息をついてネクタイを緩め、仕事にとりかかった。



「━━━━━━今日の仕事は、これで終わりです」
「了解」
「お疲れ様でした」
「うん」

「うーーん!疲れた…帰ろ」
軽く伸びをして、社長室を出た。

「お疲れ様でした、奏多様」
俺は、車に乗り込む。

「お疲れ~」
スマホを取りだし、華恋にメールを送る。
【今から帰るね。帰ったら抱き締めさせてね!】
と、送るとすぐに、
【仕事お疲れ様(^^)気をつけて帰ってきてね!今日のご飯は奏多の好きなオムライスだよ!】
と返ってきた。
「お!マジで!」
「フフ…」
「なんだよ!?」

「いえ、微笑ましいなぁと思って…」
加我がクスクス笑いながら見ていた。
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